ちゃださんの日記

「アイデア」「アイデア」という言葉が飛び交う業界で、日々試行錯誤しながらひねり出していこうとしているちゃださんの記録(ほぼ日記?)

アイデアの敷居を下げる、というアイデア。

「なんでもいいから、ね」「ペライチでいいから、なんか」。

みたいな感じで打ち合わせの前に考えてくることを求められる機会って多い。「打ち合わせの前に考えてくる」、このことについては何の異論もない。そっちの方が、1時間なら1時間と決められた時間をより濃いものにできるから。情報共有の時間が20分くらいあって、20分うんうんとみんなでうなって、少し出始めてきたら時間が来ちゃってはいおしまい、みたいな打ち合わせが多いことも事実だから、そうやって「考えてくる」ことを促すだけで、一歩進んでいると言えなくもない。

でもね、「なんでもいい」といいながら、いざ出していくとなった段階で、「これはないよねー」「いやいや、非現実的すぎるわ」「クライアントはこういうことを求めてるからね・・」みたいな否定的な意見がすぐに出てくるっていうケースが多すぎる。とか書いておきながら、正直自分がまとめる立場の時になると、「もうちょっと現実味つけて考えてきてよー」ってなっちゃってたりするわけで・・・。

これは、「いいアイデアを出そう」という気持ちよりも、「早く提出資料としてまとめなきゃ」という思いが強くなってしまっていることが原因なんだろうと思う。だからこそ、できるだけ精度の高い(自分が出したいと思っていた)アイデアを冒頭から求める、ということになってしまうんだろうな。

だけど、アイデアというのはそういう狭い視野から生まれないのも事実であって、まずは自分自身が「なんでもどんとこい!」という姿勢を見せることが一番重要だということ。

それでもやっぱり「アイデア」という言葉は恐い。なんせ、出すことによって「あいつはあれくらいのことしか考えられないんだー」というレッテルを貼られてしまうこともあるから。そんなことはされたくない、だから黙っているに限る、みたいな、もはや訳の分からないセルフマネジメントをしてしまうことも多いんじゃないだろうか?

そんな悩みの解消のきっかけになるいい文章を見つけた。

『アイデアという言葉はかなり重い言葉。それよりも「イメージ」という言葉でやり取りをする。イメージを持っているか、イメージができているか、イメージとしてはどっちの方向か・・・。この方が、正しいか正しくないかはさておき、打ち合わせに入っていきやすい。自分の思いも伝えやすいのです』(佐藤可士和佐藤可士和の打ち合わせ」より)

誰もが気軽に使っている「アイデア」という言葉。気軽すぎるからこそ、その重さに実は気づけないままでいるという現状。一つの言葉が、こうも相手に大きく影響を与えるということを改めて思い知らされた瞬間だった。

ちなみにこれを読んでから、自分の中でも実践をしているところだが、確かに「まとまってなくてもいいや(イメージだし)」「とりあえず思いついただけなんだけど(イメージだからね)」という、心理的なハードルを下げるのにかなり大きな影響を及ぼすことが分かった。これはぜひ今後も実践していきたいし、周りの人にも進めていきたいな(そして、その雰囲気を自分でも作らなきゃね)。 

 

佐藤可士和の打ち合わせ

佐藤可士和の打ち合わせ